植物を科学する

植物に関する科学的な知見の解説および論文紹介

科学論文で多肉植物の情報収集

今回は少し脱線して、「自分でも多肉植物のこともっと知りたい!」

という方向けに英語論文を使って、勉強する方法をまとめました。

 

趣味家向けのサイトだと正直にいって、情報が誤っていることがあるので、より精度が高い情報を収集する方にはおすすめです。

 

 

グーグルスカラー

 

別の記事 ↓ でも少し、書きましたが

 

botanist123.hatenablog.com

 

私が論文を調べるときに使っているサイトは

「グーグルスカラー」です。

 

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「グーグルスカラー」と検索すれば検索ブラウザに飛べます。

 

「グーグルスカラー」を使えば基本的に世界中の論文にアクセスできます。

 

日本語で検索すれば、日本で研究された研究結果がヒットします。

もちろん多肉植物だけではなく様々なジャンルの論文を閲覧することができます。 

 

英語で検索すると有料のものと無料のものがあります。

有料のものは論文が掲載されている雑誌のリンクに飛んで、購入またはレンタルすることで読むことができます。

 

 

論文の構成

論文は概ね以下の構成で書かれています。

・Abstarct(要約)

・Introduction(導入)

・Material and Method(材料および方法)

・Result(結果)

・Discussion(考察)

(・Conclusion(結論)研究者によっては結論を書かれている方もたまにいます

 

 それぞれの節について簡単に説明します。

Abstarct:アブストラク

 文字通り論文の要約が書かれています。本文に続く内容を非常にコンパクトにまとめてあるので、実験の細かい手法などを知りたい場合にはAbstarctだけでは情報が不十分です。

Introduction:イントロダクション

 研究するに至った経緯が書かれています。主に過去の研究を時系列でまとめており、Introductionの後半は現在わかっていないことに対してどのようにアプローチしていくかをまとめています。「Introduction」のセクションがないまま説明に入っている論文もあります。

Material and Method

 その実験で使った材料と方法が書かれています。「材料」と言われると、料理のレシピみたいに、「豚肉100g、しょう油10cc、コショウ少々・・」を思い浮かべるかもしれませんが、まさに料理のレシピのように細かく書かれています。多肉植物を例にすると、「『金の生る木』をOOの研究所でO月に播種して・・・」「葉10gを液体窒素で凍らせて、磨砕した後、フィルターで濾過したものを遠心分離して・・・」といったようにかなり具体的に書かれています。論文や雑誌にょってはかなり端折って書かれている場合もあります。得られたデータの統計処理の記載もあります。

Result

 「Material and Method」で行った、方法で得られた結果が書かれています。グラフや表があるので、グラフの軸や表のカテゴリーを見ると内容を読まなくてもどんな実験を行ったか、大方の予想ができます。

Discussion

 実験結果をもとに行われた考察が書かれています。結果の信頼性を評価するために先行研究との比較が行われます。過去の研究結果では「OOOという結果が出ており、本研究結果とも一致する・・・」などと、データの信頼性の述べるパートです。

 Discussionの終盤では今後の実験の展望を述べて、論文を締めくくるパターンが多いようです。例えば「今回の研究ではOOOまでは明らかになったが、OOOについては今後の研究課題とする・・・」のような感じです。

 

 論文の読み方

結論からいうと

①Result(結果)

②Material and Method(材料および方法)

③Introduction(導入)

④Discassion(考察)

⑤Abstarct(要約)

の順で私は読むことが多いです。

 

 

 初学者にありがちなミスは、Abstarctからいきなり読んでしまうことです。

Abstarctは確かに要約が書かれていますが、内容がコンパクトにまとまりすぎてよくわかりません。

もちろん、読む論文の先行研究を一通り読破されている方には、Abstarctで十分かもしれません。

 「よし!初めからきちんと読むぞ!」と意気込んだり、非常に真面目な方はAbstarctから論文を読むと挫折の原因になります。事実、私もそうでした。精読すべき論文と、多読が必要な論文をきちんと分けて読むことが勉強の早道です。

 しかし、ある程度論文を読みこなせるようになるまでは英単語サイトと教科書・専門用語の理解は必須です。避けられません。

 

どこまで調べる? 

結論はいたってシンプル。

「自分が納得するまで調べ続ける」

 

「わかる」には際限がありません。

 

たとえば

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

植物の葉っぱはなぜ緑なのか?

葉緑体がみどりだから。→じゃあなんで、葉緑体は緑なの?

クロロフィルという緑の色素があるから。→じゃあなんで、緑の色素が多いの?

・・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

のように、落としどころはご自身で決めるのが、よいと思います。

 

とは言っても、「どう調べたらいいのかわからん!」

という方も多いとおもいます。

 

どうやって調べる?

こちらも結論はシンプル。

「わからない用語を調べる」のループです。

たとえば、「光合成

で検索すると、関連する用語に

葉緑体ストロマ、ラメラ、クロロフィルa,b、光呼吸、Zスキーム、明反応、暗反応」

なんかが出てくると思います。それをご自身が納得するまで調べ続ければよいと思います。学問には王道なしですw

 

論文で調べる

今回は論文をテーマにお話ししてるので、論文を使って、調べる方法にも触れておきます。実際にグーグルスカラーを使って、多肉植物の「若緑」を調べていることにします。

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検索結果からもわかるように、意図していない論文がヒットしています。

なので、やはりおすすめは学名検索です。「若緑 学名」で検索して学名で論文検索するのがいいと思います。若緑の学名は「Crassula lycopodioides var. pseudolycopodioides」のようですが、変種なのでいい感じに検索できませんでした。なので、種名の「Crassula lycopodioides 」で検索します。

 

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そしたら、いい感じにヒットしました。

論文のタイトル、または論文中に名前が出てくる論文が検索結果に出てきました。

 

ちなみに、若緑はこんなやつ ↓

https://www.instagram.com/p/B3buURxldfZ/