植物を科学する

植物に関する科学的な知見の解説および論文紹介

多肉植物の冬越しを科学する

冬は曇天が続くから嫌なんです。。。(´・ω・`)=3

 

今回は多肉植物が冬(低温)に対してどういう反応を示すのか、科学的な視点で見ていきます。

 

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「うぁ!可愛く紅葉してる(*‘ω‘ *)✨」

 

で、終わらないのが、「多肉植物を科学する」ブログの醍醐味です。

 

 順化(harding)

低温で植物がどういう反応を示すかを考えるために、「順化」という概念を理解しておくとわかりやすいかと思います。

 

順化とは

植物を急激な環境の変化に慣れさせるために行う、軽度のストレス処理

のことです。

 

植物がストレスと感じる要因は

・温度:急激な低温または高温

・湿度:周囲の空気の急激な乾燥または過湿

・呼吸:根の酸欠

接触:根の切断。葉や茎を触る。

・pH:極度に高いまたは低いpH

・光:急激な強い光

・水:肥料濃度が高すぎる。塩水(NaCl)を与える。水を与えない

などです。

 

実際の順化の例

「ポットからプランターに植え替える際、潅水を少なめにして、植物にとって軽度のストレスをあたえる」

この場合、水を少なくすることで、ストレス耐性を上げ、植え替えによる根の切断

 

参考文献(一部改変)

日本光合成学会

http://photosyn.jp/pwiki/index.php?%E9%A6%B4%E5%8C%96%28%E9%A0%86%E5%8C%96%29

 

低温耐性

セダム属はどうやらかなり低温に強いようです。

以前のブログでも紹介しましたが、

 

botanist123.hatenablog.com

 

Sedum ‘Autumn Joy’は-27℃でも順化させていけば、耐えるようです。

ニジノタマ(Sedum × rubrotinctum)も同様に-27℃までは耐えるという結果が出ています。まあ、あくまでも順化させた場合です。急激な温度変化に耐えられず、凍結により「絶える」こともあります。

 

 上記の論文で、低温耐性が上昇した理由は「水分量の減少と低温耐性の上昇には相関関係がある」という解説でした。

 (Brule-Babel and Fowler, 1988;Metcalf et al., 1970; Nass, 1983; Siminovitch and Cloutier, 1982; Tyler et al., 1981; Willemot and Pelletier, 1979), Medicago sativa L. (alfalfa) (Stout, 1980), turfgrass (Gusta et al.,1980), and woody plants (Levitt, 1980)

 

セダム属が低温に強い理由

正直、はっきりとしたことはわかりませんが、セダム属と他の多肉植物との形態的に大きく異なる点は、①鉛直方向に伸びない、②根が浅いという2点がヒントになるのかもしれません。

 

 今回は植物の「順化」についてまとまられているサイトがなかったので、長々ご説明しましたが、これからのPlant-Lifeに役立つと思います✨

 

 

P.S. アドセンスをパスできたので、頑張って更新していきます。