植物を科学する

植物に関する科学的な知見の解説および論文紹介

多肉植物は真夜中でも光合成する①

多肉植物の論文いくつか拾い読みすると、CAM 型光合成について書かれていることが多いことが分かりました。

 

なので、まずはCAM型光合成の旨味をお話ししたいと思います。

 

しかし、いきなり、「CAM型光合成」とは云々かんぬん言っても、

 

「えぇ?、しーえーえむ?なにそれ?」「日本語でどうぞ!」

 

と、なりそうなので、まずは光合成についてお話しします。

 

ただ、「勉強なんてできません!!」って、おっしゃる方も多いと思いますので、

 

小学生でも理解できるレベルで少し話します。

 

 

光合成」は一言でいうと、

 

「水」と「二酸化炭素」から「光」によって「デンプン」と「酸素」をつくる化学反応

 

です。

 

 

ほぼ全ての植物は光合成によってデンプンを作っており、

ほとんどの植物は昼間に光合成を行いますが、

 

多肉植物」と呼ばれる植物は

 

光合成の反応の一部を真夜中に行っています。

 

 

その過程を詳しく説明すると・・

 

夜の間に気孔から取り込んだ二酸化炭素

 

 

デンプンを分解することでできたホスホエノールピルビン酸(PEP)

 

が反応して

 

オキサロ酢酸できる

 

そして

 

オキサロ酢酸はNADPH₂により還元され

 

リンゴ酸になります。

 

リンゴ酸は「酸」というだけあって酸味があります。酸っぱいんです。

夜間にのみこのリンゴ酸は増えるので、明け方がもっとも多肉植物の葉が酸っぱくなります。

もし、自宅に伸び放題の多肉植物があれば、ひと齧りしてみてください。

(※カランコエ属の一部の品種には毒性があるので、エケベリア属などにしてみてください。)

 

引用

基礎生物学テキストシリーズ7 植物生理学 三村 徹郎 鶴見誠二