植物を科学する

植物に関する科学的な知見の解説および論文紹介

キヌアにオレンジジュースぶっかけてみた。

こんにちは。

 

テーマ変わりまして、初ブログです。

本日はキヌア(雑穀)について面白い論文があったので紹介します。

 

 

キヌア とは

和名:キヌア
学名:Chenopodium quinoa
キノア (Quinoa) はヒユ科アカザ亜科アカザ属の植物。アカザとは同属、ホウレンソウやビートとは同科である。
南米アンデス山脈の高地アルティプラーノにおいて、数千年前より食用に栽培されている擬似穀物(英: Pseudocereal)であり、
トウジンビエ、シコクビエ、キビ(黍)、アワ(粟)、ヒエ(稗)などと同様に、雑穀に分類される。

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キヌア

Wikipediaより
 

 

実験の概要

発芽後2週間目からキヌアを4段階の潅水(かんすい)条件で育てた。

(ちなみに潅水とは水やりのこと。)

 

条件

1.ストレスなく十分に潅水する

2.条件1の60%程度の潅水

3.条件1の40%程度の潅水

4.条件1の20%程度の潅水

 

上記の条件で1か月育てた後、

 

濃度150 mg/Lのアスコルビン酸(ビタミンC)

または

25% 希釈のビタミンC豊富なオレンジジュース

を葉面散布した(葉っぱにかけた)。

 

散布後、15日目にキヌアの生長量、光合成量、過酸化水素、抗酸化酵素活性、可溶性固形物含量などを測定した。

 

結果

潅水を制限した条件は

著しく生長量、光合成量が低下。過酸化水素、抗酸化酵素活性、可溶性固形物含量は増加した。

 

一方、

濃度150 mg/Lのアスコルビン酸(ビタミンC)

または

25% 希釈のビタミンC豊富なオレンジジュース

を葉面散布した(葉っぱにかけた)条件では

成長量の改善や過酸化水素、抗酸化酵素活性の低下がみられた。

 

過酸化水素と抗酸化酵素活性の測定意義

一般的に植物はストレスを受けると過酸化水素を発生することがわかっており、過酸化水素を測定すれば植物がどの程度ストレスを受けているかの指標になる。

ストレスにより発生した過酸化水素を除去する(取り除く)ため抗酸化酵素が活発にはたらくようになる。したがって、抗酸化酵素の活性を測定するとストレスに対してどの程度過酸化水素を除去できているかの指標になる。

また、過度に過酸化水素が多くなると細胞死を招くことになり、植物の枯死(枯れる)などにつながる。

論文の結論

・25%希釈のオレンジジュースを発芽後6週目のキヌアにかけると乾燥耐性がつく

・安くてコストパが良い

 

私の結論

ちなみに本実験で作製したストレス耐性液

アマゾンで購入可能なアイテムで本当にオレンジジュースの方が安いのか計算してみたところ、(※希釈する水代を¥0で計算した場合)

 

オレンジジュースの場合   :¥1633で19.2リットル製造可能

アスコルビン酸(ビタミンC) :¥1200で6666リットル製造可能

 

オレンジジュースのコスパは良くない。

まぁ原産地とかでやった場合では計算結果が変わってくるかもしれませんが、恐らくアスコルビン酸(ビタミンC)は合成されているものなので、やっぱりアスコルビン酸(ビタミンC)を希釈するほうが経済的かもしれません。

 

100%オレンジジュース 

 アスコルビン酸(ビタミンC)

 

参考文献

Aniqa Aziz, Nudrat Aisha Akram, Muhammad Ashraf, 2018, Influence of natural and synthetic vitamin C (ascorbic acid) on primary and secondary metabolites and associated metabolism in quinoa (Chenopodium quinoa Willd.) plants under water deficit regimes

 

本日は以上です。